インボイスは「請求書」と「納品書」の組み合わせでも認められます

インボイスは「複数の書類の組み合わせ」でも認められます

インボイスは、1通の書類のみで「すべての記載事項」を満たす必要はなく、
交付された複数の書類の全体により記載事項を満たすことが認められています。

例えば、取引先に納品書と請求書を交付する場合について考えてみます。
インボイス登録番号を取得したけれど、どこに記載しようかなというときには、
請求書だけにインボイス登録番号を記載する場合でも認められます。

インボイス(適格請求書)に必要な記載事項は、次項で挙げるとおり6つありますが、
従来の書類(例えば、請求書と納品書)で既に、インボイス登録番号以外の記載事項を満たしている場合があります。
その場合には、請求書にインボイス登録番号を記載すれば大丈夫ということになります。
もちろん納品書にも登録番号を記載するという対応をとることも可能です。

インボイス登録番号以外に、対応が必要なものとしてよくあるのが、
「消費税率」や、「税率ごとの合計額と消費税額」のいずれかの記載がない場合です。
消費税率や、消費税額の記載が追加で必要なことが多いので確認しましょう。

 

請求書と納品書のどちらに記載するか

では、これらの記載が漏れている場合に、請求書と納品書のどちらに記載すればよいでしょうか。
両方に記載しようとお考えの場合には悩みませんが、いずれかの書類だけに書き足したいとお考えの場合について検討してみます。

まずは、インボイスに必要な記載事項を改めて確認してみます。

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

番号でいうと、②取引年月日、⑥会社名等は請求書・納品書の両方に記載されていることが多いでしょう。③取引内容は、通常納品書に記載されています。

①はどちらに書いても良いとして、残りの④、⑤をどちらに記載すれば良いでしょうか。
それは現在、納品書と請求書の記載状況から判断すればよいと思います。

納品書に「本体金額」だけを記載している場合

請求書に記載しましょう。

納品書に「本体金額」と「消費税額」を記載、 請求書には「消費税額」の記載がない場合

納品書に記載しましょう。

納品書にも請求書にも「本体金額」と「消費税額」を記載している場合

どちらかに記載(両方に記載もOK)しましょう。

悩む場合は請求書に記載しましょう。経理の消費税端数処理の関係上、請求書に記載した方がよい場合があります。

 

インボイスでは消費税の端数処理(1円未満)について定めがあります

上記のインボイス記載事項⑤の「税率ごとに区分した消費税額等」に、
1円未満の端数が生じる場合の処理については、
一の適格請求書につき、1回の端数処理が認められています。

すなわち、

納品書に消費税を記載している場合は、納品書ごとの端数処理はOKですが、
請求書に消費税を記載している場合は、請求書に記載された明細ごとに端数処理することはNG、
月の合計額に対して消費税を計算し、合計消費税額の端数処理をすることはOKということです。

NGな例は、下記のようにひとつの書類につき端数処理が1回より多い場合です。

[請求書](NGな例)
納品書1 10%対象 60円(内消費税 6円)←消費税端数処理あり
納品書2 10%対象 60円(内消費税 6円)←消費税端数処理あり
納品書3 10%対象 60円(内消費税 6円)←消費税端数処理あり


合計   10%対象 180円(内消費税 18円)←1+2+3の合計

端数処理を1回にするには以下のようにします。以下は、端数処理が認められる例です。

[請求書](OKな例)
納品書1 10%対象 60円
納品書2 10%対象 60円
納品書3 10%対象 60円


合計   10%対象 180円(内消費税 17円)←消費税端数処理 1回

このように、消費税端数処理の計算方法が定められています。

そういうわけで、毎月一度、一か月のお取引についてまとめて請求書を発行する場合には、
納品ごとに消費税端数処理をするのではなく、月に一度の合計請求書で、月に一度だけ消費税の端数処理する。そのためには、請求書に消費税額を記載する方法で、インボイスの対応をした方がよいのではないでしょうか。

最後に、納品書と請求書の関連性についても、請求書に納品書番号を記載するなどのご対応をお願いします。これは従来通りの対応で問題ないことが多いでしょう。

ご参考になれば幸いです。

 

 

【日記】
家族の体調不良で負荷がかかっていて疲れきみです。3月決算は4件の内あと1件。延長の申告や準確定申告もあるので気持ちが落ち着きませんが、日々改善していく実感が楽しいです。
私が帰宅すると、長女が走ってきて今日の嬉しかったことを報告してくれました。
次女は帰宅後すぐに「お弁当おいしかったよ~」と言ってくれました。嬉しいです。

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