「終わった人」。定年後の世界と独立後の世界の共通点

内館牧子さんんの「終わった人」という本を読みました。そんな分野があるのかわかりませんが、「定年小説」という分野で、定年後の男性について書かれています。「終わった」とは、この小説中ではいろいろなことを指していると考えられますが、定年後のお話なので「花盛りが過ぎた」ということを第一に指しているのでしょう。

私も「終わった」あとのことについて考えを巡らせることが多かったので、ぴったりのテーマで、一気に読み終えました。定年後の「男性」の心理について、また、定年に至るまでの仕事に邁進する「男性」の心理についての描写が興味深かったです。

他にも色んな切り口から気づきはありましたが、定年後って厳しい!なんか独立に似ているところもありましたので、その点について取り上げてみます。

(一般的な定年後がそうであるかどうかはわからないので、小説上の「定年後」を前提に話を進めます。)

もぬけの殻になる

まず、定年後は何をすればよいのかわからなくなるものなんですね。がむしゃらに働いてきてまだパワーがあるのに、これから何をすればよいのか準備してこなかった。

特に仕事に一生懸命に取り組んできた人ほど、仕事にとらわれていて、その仕事がないともぬけの殻になるのでしょう。仕事に一生懸命というのは、仕事に時間も労力も割いてきたし、仕事のためにと家族や自分の時間を後回しにしてきたし、自由なはずの頭の中でさえ、いつも仕事のことを考えていたと思われます。

そのため、仕事がなくなると、ぽっかりと穴があく。
何かに向かって大変そうに働いている自分が誇らしいと思う部分もあった。いざ、時間も労力も気力も全部フリーになったら、何をすればよいかわからない。

これは怖いなと思いました。「定年」って「次を準備しなくてもいい」というイメージがあるのは怖いですね。めいっぱい仕事のことをやってきたことは誇らしいかもしれませんが、そんな会社もいずれ去ることになるわけなので、辞めたその時に、すぐ次のことに自分の気持ちや情熱が向くように余裕をもって準備しておいた方がいい。

独立前も、最後の1日まで仕事に追われるのではなく、辞めたあとの段取りに力を振り分けるくらいに準備できたほうがいい。そういう点が定年後と独立後は似ていると感じます。

試行錯誤

上と同じようなことですが、定年後に時間ができても、自分がやりたかったことがはっきりしないということが衝撃でした。やっとやりたいことができる状況になったのに。「やりたくない」ことはわかっているけど、その中で「できること」を見つけられない。

しっくり来る進路を見つけられないまま、本心では望まない行動をとってみたり、ああでもないこうでもないと言い訳して何も行動しなかったりします。試行錯誤なんですね。

主人公が定年後、何でもできるという選択肢をうまく活かすことができないどころか、そういう状況であるために困惑する様子に思うところがありました。

独立後も試行錯誤。既に幾人もの人たちが通ってきた道だったとしても、自分にとっては初めての道ですからね。与えられた仕事をやる日々を終えて、自分で自分の行動を定義しなければならないところが定年後と似ていて興味深かったです。

居場所について

「定年後の居場所のなさ」というのは何となくイメージはしていましたが、日々の居場所がないこと、生活にリズムがつかないことは、心もとないですね。旅行も食事も共にする人がいてこそ楽しいのだとすれば、そういう仲間がいないとお金や時間があっても虚しいかも。

これまで一緒に日々を楽しんでこなかったのに、定年後に一緒に楽しもうといっても難しい、これまで同じ空間で快適に過ごす「練習」をしてこなかったのに、急に同じ空間に居て楽しく過ごすのは難しいでしょうね。家族であっても。不機嫌で日々家族に気を使わせているなんてもってのほか。

仲間はどうでしょう。自分が心地よく過ごせる場所は、探せば見つかり行動すれば手に入るのかもしれませんが、定年後に見つけるのは簡単ではなさそう。

私は、仲間探しや心地よい居場所探しを、定年を待たずに始められて良かったなと思いましたよ。

 

「終わった人」を読んで、「定年」についてイメージできました。定年後を「第2の人生」と表現するなら、独立は、早めに「第2の人生」を始められたとも言えそうですね。

 

【日記】
「今日ははなまるまんてんだった!」上機嫌は次女。「なんでかっていうと、むずかしいパズルやらずにお絵かきばっかりできたから!」(保育園でやってる難しい問題をやらなかったのが嬉しかったのか⋯。)
長女は昨日の早めに寝るという決意を忘れずにテキパキと準備して就寝。ほんとに成長しましたね。単に疲れていたのかもですが。
体育でラグビーを。タックルはせずに追いかけて服につけたリボンをとるリボンラグビー。工夫ひとつでラグビーが身近で楽しくなりますね。
今日は1月期限のお仕事。午後は面談のためご訪問。設立間もない方の税務は検討事項がたくさんありますがお役に立てることが多く嬉しいです。

【something new】
新しい場所

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